第7章 委任契約の清算

第43条(委任契約の中途終了)
(1) 委任契約に基づく事件等の処理が、解任、辞任または委任事務の縦続不能により、中途で終了したときは、弁護士は、依頼者と協議のうえ、委任事務処理の程度に応じて、受領済みの弁護士報酬の全部もしくは一部を返還し、または弁護士報酬の全部若しくは一部を請求することとします。
(2) 前項において、委任契約の終了につき、弁護士のみに重大な責任があるときは、弁護士は受領済みの弁護士報酬の全部を返還しなければならないものとします。ただし、弁護士が既に委任事務の重要な部分の処理を終了しているときは、弁護士は、依頼者と協議のうえ、その全部または一部を返還しないことができます。
(3) 第1項において、委任契約の終了につき、弁護士に責任がないにもかかわらず、依頼者が弁護士の同意なく委任事務を終了させたとき、依頼者が故意または重大な過失により委任事務処理を不能にしたとき、その他依頼者に重大な責任があるときは、弁護士は、弁護士報酬の全部を請求することができます。ただし、弁護士が委任事務の重要な部分の処理を終了していないときは、その全部については請求することができません。
 
第44条(事件等処理の中止等)
(1) 依頼者が着手金、手数料または委任事務処理に要する実費等の支払いを遅滞したときは、弁護士は、事件等に着手せずまたはその処理を中止することができます。
(2) 前項の場合には、弁護士は、依頼者に遅滞なくその旨を通知しなければならないものとします。
 
第45条(弁護士報酬の相殺等)
(1) 依頼者が弁護士報酬又は立替実費等を支払わないときは、弁護士は、依頼者に対する金銭債務と相殺しまたは事件等に関して保管中の書類その他のものを依頼者に引き渡さないでおくことができます。
(2) 前項の場合には、弁護士は、依頼者に遅滞なくその旨を通知しなければならないものとします。

 
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